(1895年ドイツ、ハナウ生まれ;1963年フランクフルトにて死去)
ソナタ ハ長調 (1939年作曲)
第1楽章:Lebhaft
第2楽章:Langsam-Lebhaft-Langsam, wie zuerst
第3楽章:Fuge
パウル・ヒンデミットは、作曲だけでなく、音楽学やアートマネジメントにも力を発揮した多才な人物で、またヴァイオリン奏者としても、ヴィオラ奏者としても指揮者としても活躍しました。モダニズム音楽が"芸術のための芸術"という哲学を包含している時代に、ヒンデミットはゲブラウフスムジーク(Gebrauchsmusik)、または"実用音楽"といわれる特定の実用的な目的のために作曲され、アマチュア奏者たちによっても演奏可能な作品を支持していました。
スイスに亡命中に書かれた『ソナタ ハ長調』(1939年作曲)は、ヒンデミットがヴァイオリンとピアノのために残したソナタ4曲のうちの一つです。3楽章から構成されたこのソナタは、音楽言語としてはマーラーの作品と類似しているところがあります。
Lebhaft(元気に)と表記された第1楽章はファンファーレのようで、作品冒頭の主要テーマが曲の進行とともに展開していきます。このテーマは楽章全体の基礎を成しており、あたかもブロックを積み重ねているような構造になっています。冒頭は大胆で朗々とした低い音で始まり、徐々に盛り上がって最後には高い音へ展開していき、この楽章は終わります。
第2楽章のLangsam-Lebhaft-Langsam, wie zuerst(ゆっくりと-元気に-最初のようにゆっくりと)は、第1楽章に比べかなり繊細な性格を帯びており、偏在するバロック音楽のような要素は大胆でエネルギッシュな前楽章とは対照的です。第2楽章は3つのセクションに分かれており、最初と最後のセクションは同じ素材を使いながらも、はっきりと異なった様式で書かれていて、全体的にバロックの特徴が暗示されています。真ん中のセクションは意図的に冷静を装いながらも、8分の5拍子の変拍子で、常に踊っている感じがして、コミカルでチャーミングなところがあります。最後には、楽章の最初と同じように単調な4分の2拍子が戻ってきます。
最終楽章に漂う厳粛な雰囲気は、三声のフーガ(Fuge)の効果によるものです。この曲によって、ヒンデミットが三声のフーガ形式の作曲技術を完璧にマスターしていることがよくわかります。フーガの展開とともに緻密に重なり合う縦の響きが緊張感を高め、鋭く荘厳なフィナーレを迎えます。
2007年 五嶋みどり
(編・訳:花田由美子)

